子どもが辿る道

近年、中学受験の割合が高まっていて、それに対する準備として塾に通う割合も高まっていると同時にその年齢はどんどん早まっているという傾向があります。私が普段接している子どもたちも例に漏れず小学4年生、早い子は3年生から塾に行き始めます。

「あなたはなぜ塾に行くのですか?」

この質問を小学4年生に問うてみると、どんな答えが返ってくるでしょう?子どもが答えることは想像に難くない気がします。
1.親または学校の先生が行けと言うから(行った方が良いと言うから)
2.周りの友達が行っているから
3.受験のために必要だから
この3つの答えが大半を占めるでしょう。いずれも主体性に欠けた答えかなと思うわけです。3は一見主体性があるように感じますが、では次の質問をした場合はどうでしょうか?

「あなたはなぜ受験をするのですか?」

これに主体的な答えをもっていて自分の言葉で説明ができる小学4年生が果たしてどれほどいるでしょうか。先の質問で3と答えた子どもはきっとここではこういうことが考えられます。

「良い大学に行くため」
「良い高校に行くため」

意地が悪いと言われそうですが、そうなるとこの質問が次に来ます。

「なぜ良い大学に行くのですか?」

予想される答えは「良い会社に就職するため」ということが考えられますが、以下のように続いていくと、、、
「なぜ良い会社に入りたいのですか?」→「お金を稼ぐため」
「なぜお金を稼ぎたいのですか?」→「なんでも買えるから」
「何が買いたいのですか?なぜですか?」→「・・・。」
となります。

最後のところまで答えられたら本当に主体的に考え自分の意志で進路選択をしていることになりそうですが、そんな小学生はおそらく殆どいないのではないでしょうか(大人でも少数かと思います)。

そもそも良い高校、良い大学、良い会社って何でしょうか?その定義は子どもにはできないでしょうし、その定義は時代によって変化をしています。おそらくはその時々の親または身の回りにいる大人の価値観に侵されている可能性があります。

そもそも現在ある職業の多くが10~20年以内になくなると言われており、裏を返せば今の子どもたちは今は無い、または今の大人たちが知らない職業に就く可能性が高いと言われています。(ちなみに、恐ろしいかな「現在の職業の約半数が10~20年以内に人工知能やロボット等で代替可能になる」とオックスフォード大学が発表したのは2014年のことです)

今ない職業に就くのですから、それに必要な資質は分かりません。偏差値という考え方すら淘汰されていきそうなこの世の中で、良い学校、良い就職を定義することは難しく、ましてやモノの保有が豊かさにつながる時代も終わりを迎えようとしているぐらいですから、何を主軸に据えて人生をプランニングしていけば良いのでしょうか。ここまで書いておきながら私もその答えは分かりません。

一つ考えたのはやはり主体性です。自分の意志で自分の行動を選択できるか。これができることが必要なのではないかと思います。そのために幼少期から意志を汲み、選択権を与え、実際に選択をするという経験をたくさん与えたいものです。そうすることで初めて自分の行為が自分事になり、目的意識も持てるようになるのではないでしょうか。目的があるのとないのとでは同じ努力をしたとしても成果に差がでます。

尚、こういった問題は学力受験に限らず、スポーツの選抜(セレクション)などでも同じ問題が起きています。


「なぜ」によって意志と目的を掘り下げていく
その後に必要な最低限の支援をして背中を押してあげる

それが大人の役割なのではないのかなと思います

※ちなみに矛盾しますが私自身も良い高校に行き、良い大学に行った方が人生において様々な意味で得になることが多いのではという価値観を抜け出せずにこれを書いています。ただし、そのために塾に行く必要はなかったのが私の時代でしたが、、、。



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