子どもは小さな大人ではない

“子どもは小さな大人ではない“

何度かこのブログにも登場しているJ・J・ルソーの言葉です。
この言葉を思い浮かべる機会が増えています。

先日、少年野球の野球少年たちが守備用手袋を着用していると聞きました。なぜだろう、、、。本当に必要なのでしょうか。(打撃用だって私は高校卒業まで着けなかった)。手の保護と言っても小学生が投げる球なんて100km/hそこそこで、しかも軟式ボールです。グローブの中で滑ると言ってもそんな繊細な感覚でグローブを扱っているのでしょうか。

おそらくは「プロ野球選手がつけているから」というのが主な理由でしょう。

これと似た現象がジュニアのスポーツでしばしば見られます。

その一つがフィジカルトレーニングです。
大人がやるようなトレーニングやウォーミングアップを子どもに処方している指導者は少なくありません。先日職場で行われた全国大会でもその光景を目の当たりにしました。それがその子どもにとって、その年代に、その時期に必要なことなのかどうかというのは今一度考えてもらいたいと思います。

フィジカルだけでなく、同じことはtechnique、tactics、mentalの各要素においても見られます。例えばテクニックに関して言えば、プロ野球選手のフォームをスローで見せながら真似をする。例えば戦術に関して、進塁打を強制する。例えばメンタルに関して、プロと同じようなストイックさを求める。これらはほんの一例で、氷山の一角に過ぎないことはジュニアに携わっている指導者であれば心当たりがあることだと思います。

「大人がやっているから」という理由でそれを子どもに適用してしまうのはあまりに理不尽であり危険も孕んでいると思います。もっと言えば“科学的に証明された”という謳い文句も多くは大人においてそういう結果だったということが多く、それをそのまま子どもに適用はできません。

話しは戻って、フィジカルトレーニングの子どもへの適用に関しては、フィジカルトレーニング偏重の風潮も手伝っていると思います。フィジカルトレーニングというものが存在しなかった時代と比べて、フィジカルトレーニングの重要性が(誤った形で)認識され、パフォーマンス向上にはフィジカルトレーニングが必要だという固定概念が広まりました。ある程度パフォーマンス構造が出来上がった選手にはもちろん有効な手段だと思いますが、果たして子どもにも同じ考えが通用するでしょうか。フィジカルトレーニングは当然行われるべきもの、フィジカルトレーニングはパフォーマンス上げる魔法のようなものという認識があまりに流布しすぎています。

以前にも、「子どもにフィジカルトレーニングは要らない」や「子どもに必要なのはトレーニングではなく多様な刺激」といった内容の記事も書きました(考え方の変遷や修正の必要もありますが、私はあえてrewriteせずに置いておきます)。今一度、『それ本当に必要ですか?』というところを考えてもらいたいものです。

子どもは小さな大人ではなく、子どもは子どもであり、子どもらしくいられますように。

 

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