ゲームでスポーツが上達する?

今私が関わっている子どもたちを見ていると、どうも子どもたちだけで成立するスポーツとそうではないスポーツがあるように感じます。

成立するスポーツの代表格はサッカーやドッジボール。理由は以下のものが挙げられるでしょう。
・ルールやコートがシンプルである(コートというコートがなくてもできる)
・必要な道具が少ない
・ゲームが成立するのに必要なスキルがシンプルである
の3点が私が思うメインポイントです。

一方で子どもたちだけではなかなか成立しづらいものとして野球やテニスが挙げられます。
理由としては前述の3つのポイントがそれとは逆である点にあると思います。
・ルールが単純ではない上にコートはある程度しっかりしたものである必要がある
・ボール以外に必要な道具がある
・子どもたちのスキルではなかなか子どもたち同士でのゲームは難しい

というわけで大人の介入が必要になってしまうあたりが、そのスポーツが遊びとして発展しない=子どもの持つ自由時間にそのスポーツで遊ばない=自然発生的な成長が見られないというサイクルになり、習い事というものに頼る傾向にあります。

そんなとき、私の娘と息子がインフルエンザになり、回復期に元気だけど外出できないという状況になったことから、10年ぶり?ぐらいにwiiを引っ張り出してきました。やったのはwiiスポーツ。ここにヒントがありました。

そのゲームはテニスも野球も来たボールに合わせてセンサー付きのリモコンを振るだけというシンプルなもの(蛇足だが打った瞬間にリモコンを通して振動が手に伝えられるというスグレモノ)。それだけの操作でゲームが成立していました。打つ以外の部分はコンピュータが勝手に動いてくれたり点数をカウントしてくれたり、ゲームは進行していきます。

これはなかなか面白いぞと思って観ていると、子どもたちもやっぱり楽しかったみたいで「もう1回、もう1回」と何度もやっていました。進行が難しい野球もコンピュータが進めてくれるので、野球というゲームがどの様に進行していくのかが一目瞭然です。点数の数え方が難しいテニスも同様に、ゲームをしているとその数え方が自然と身についてきます。

そんなシンプルな中でもボールのバウンドやスピード(タイミング)などはそれなりに現実世界のものが再現されているので、それはそれはいい練習になります。そしてそれが何度も何度も出来るので自然と上手くなっていきます。

で、元気になってから実際のテニスや野球をやってみたら、ちょっと上手くなっていました。これは、嘘のように聞こえるかもしれませんが、本当の話です。実はこの現実と仮想の行ったり来たりが大事なので、ゲームだけやっていてもダメで、リアルな身体感覚をゲーム内の人物に移入しながらプレーすることでより効果は高くなると思います。

私はスポーツはゲームなんかよりも実際に身体を動かした方が絶対に楽しいという立ち位置をとってきました。今でも楽しさという意味ではリアルな世界の方が絶対に楽しいという考えは変わりませんが、ゲームもその効用という意味では使いようだなと、新たな発見がありました。(ただし、この場合は指のみのコントロールではなく、wiiスポーツのように実際に身体を動かして画面上の人物に反映させる形のものに限ります。)

ちなみに、ゲームの世界では自分の保持するものよりも高いスキルで試合をしてくれるので、“戦術”という部分を学ぶ、生み出すということに関しては有効なツールだなというのは前々から思っていたことでした。

eスポーツというものが正式にスポーツとして認識されるようになってきている時代において、またARやVRなどのテクノロジーの発展がさらにその関心を集めていることもあり、ゲームをスポーツの一部分という捉え方をしてみると、リアルなスポーツへの発展へとつながっていくかもしれません。



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