過ぎたるは猶お及ばざるが如し

前回の臨界期の話をすると大抵は、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」という風になってしまいます。しかし先に述べたように、物事には習得の適齢期というのがあって、後段に譲りますが前出の糸山先生も同じ主張をしています。 一つ、良記事を紹介します。 『松坂大輔の野球人生は成功か。恩師と考える、球児の早熟化』 横浜高校野球部の元部長である小倉清一郎さんのインタビュー記事です。 以下本文の引用になりますが、 「 失敗というと語弊があるけど、『もうちょっとこれは練習しないといけない』『あれも練習しないといけない』という未完成な部分を残しておいた方がよかったのかなというのはある 」 平成の怪物と言われた松坂大輔投手への指導を同氏はこう回顧しています。 要は適齢期を無視して飛び級でありとあらゆることを詰め込んでいった結果(もしくはスポンジのように本人が吸収してしまった結果)、伸び代をなくしてしまったということのようです。あれだけの成功者を輩出しておきながら、この境地に至った指導者というのは希だと思います。 子どもは小さな大人ではない というのは以前から当ブログでも発信していますが、何事もやりすぎはよくないですよということですね。2つ前の記事で紹介した「60%の法則」にも通ずる話です。 さて、冒頭の糸山先生の主張に戻ります。 以下、思考の臨界期の引用です。 「能力は開発すればいいというものではありません。幼児・児童期に目ざめさせてはいけない能力もあるのです。特に時期がずれている時(不自然に早く)に発揮される能力は外になります。害になるから自然には発達しないようにプログラムされているのです。それなのに眠っている子を起こして喜んでいるような人が大勢います。幼児・児童期に目覚めた能力は一生の性格(能力によっては一生の弊害)になる場合が多いので要注意です。」 前出の小倉氏の主張と全く同じではないかとびっくりしました。 小倉氏は別の記事で「今の子はすぐに結果を求めたがる」とありました。子を大人に置き換えて、「今の大人(親)はすぐに結果を求めたがる」が本記事の主旨です。 12歳までは「ゆっくり・ジックリ・丁寧に」が最も効果的な学習方法なのです。(糸山氏談)